beach storyのお話 23

beach storyのお話 23 


あれから数ヶ月後


相変わらずまだ心がぽっかりしている部分はあるし、

思い出せばすぐに悲しくなるけど、なんとかこの島で

楽しくやっている。


今こうして変わらず働きながら、相変わらず

マネージャーとぶつかり合いながら楽しく島に

いられるのは遠くにいる俺の地元、埼玉の仲間の

おかげが大きかった。


あの日、どうしていいか分からなくなって

気がついたら、地元の仲間に電話をして話を

聞いてもらい、俺の背中を押してくれた。


仲間達は電話越しから、落ち込んでいる俺に


そんな経験、俺達もした事ないから、

ありきたりな言葉しか言えないけど、

いっ君の分まで生きるしかねーだろ。


お前が今日までを否定するんなら、

それはこれまでのいっ君との楽しかった事も

全部否定しちまうって事だろ?

それは違くねーか?


俺達はあの日、お前の旅に出るって

 言って、帰って来た時にその旅の話を

 持って帰って来る事を楽しみにしてるし、

 彼が教えてくれたその彼が育った久米島を

 もっと知ってから帰ってきて、島の話を

 してくれたら俺達も嬉しいけどね。


って言っても、そんなのは誰だって

 辛いの当たり前だから、今ここで

 お前が帰ってきても、別に逃げて来たとか

 早い帰りだとか笑うやつなんかいないし、

 いつでも帰ってこいよ!俺達だって、お前に

 早く会いてーのは変わらねーからね。


ってか、悩んでるって事はまだそこに

 いたらいいんじゃない?

 でなきゃ、お前は決めたんなら、

 もう帰ってきてんだろ


数秒黙ったまま、俺は

そうだよな、お前らの言う通りだな、いつもありがとう


それは、どこにいたってお互い様だろ笑 仲間じゃん笑

その後は少し他愛のない話をして電話を切った。


こいつらの言う通りだったな。

未だに現実から逃げようとしてただけの弱い人間だよ。

現実はしっかりと受け止めないとなんだよ。

都合の悪い部分だけを否定なんてのは出来ないんだよな。

離れていても、ちゃんと仲間もいたし、見失う所だった。


俺は今も変わらず胸を張って言える真実。

それは仲間に恵まれ常に支えられて生きている。


今回、この事で初めて人一人の命の重さ、尊さを知り

いっくんからは学んだ。

そして、いっ君もずっと俺の仲間。


俺はこの先、仲間達に恥じぬよう胸を張って

俺も仲間達が何かあった時、何かなくても

助けにいけるそんな生き方をしようと心に誓った。


夜になり改めて料理長、マネージャーに頭を下げに

いき、明日から、きちんと仕事をしますと約束して、

続けさせてもらえる事になった。



そして今は、この久米島を以前よりももっと好きに

なれて、楽しく生きている。

マリンスポーツの人達とも自然に仲良くなり

ダイビングにもたくさん連れていってもらった。

ウミガメがたくさんいるスポットも教えてもらったり!


この島に新しい友達もたくさん出来た。

新しい友達を作るために、島にいる同世代の

サーファー達や島の若い連中の集まっている

場所を探して、友達を増やしていった。

みんなその場で友達になってくれて、そのまま

マリンジェットに乗って、壮快に海のドライブも

しょっちゅうしてたし、運転もさせてもらった。


そして一気に島の友達の輪が広がっていった。

そんな頃に出会ったのが島に唯一のレゲエバー


スパイラルマーケット


ここはまた、雰囲気がまったく違う。

沖縄の島の空気感はあるものの、南国特有の

手作り感満載のレゲエバーだ。

ここのナシゴレンは、とにかく旨かったな。


夜は皆がここでワイワイしている。

もともとマスターは島の人ではなく

大阪の人で、ほんの数年前にこの島に

レゲエバーを作った人。

このマスターとの出会いによって、後の

「Beach Story」を作るきっかけになる。


「story24に続く」

前回のお話


世界の路上 (スパイラルマーケット前)