「beach storyのお話 20」 最後の会話
ある日、いっ君が
いっ君「俺、来年また大学受験するから
今月で仕事を辞めるんですよ…」
俺 「まじ…?一緒に仕事するの今月いっぱいか…」
いっ君「ちょっと寂しいけど、冬にはまた
帰ってくるんで!」
出会った頃から、もともと聞いていたことだった。
そもそも大学受験に失敗したから、島に残って
いるだけだったんだ。
そして、この島には予備校なんてもんはないし、
一度沖縄本島に出て、知り合いの家にしばらく
居候しつつ、本島で受験勉強をするということだ。
しばらくの間、いっ君とはお別れだ。
まだ、ホテルが暇な時期から一緒に仕事を
して、「ここはこうしよう、こうして行こう」
なんて、話ながら、俺は兄貴気分で、それらを
マネージャーに伝えたりして、ちょっとでも
仕事の効率なんかを考えながら、働いていた。
最初は二人のバイトだけだったけど、今は
それなりに、内地(沖縄以外の土地)から
住み込みバイトを目指して一緒に働く仲間も
増えて、男二人だけの仲間から、女の子も
いるようになった。それでも22歳〜24歳
くらいが多く、年下の俺らが、仕事の先輩として
ホールを回したりしていた。
内地の人達からすると、俺なんかより
やっぱ、いっ君に人気がある😓
みんな、薄汚れの俺より純粋な目を
してる彼がめずらしいんだよね!
俺もそうだったし。
だから、基本的にボケとか汚れ役は
俺でみんなで楽しくやっていた。
それでも、いっ君がいなくなるのは、みんなも
寂しいんだよね。
冬になる頃には、また帰ってくるって話だけど
しばらく離ればなれになると考えるとなんだか
切ないよね。とか言って俺もそうやって地元を
離れてきたわけだからなんとも言えないけどさ。
まだ短い期間の付き合いだけど、俺にとっては
本当に濃い時間を過ごさせてもらって、
いっ君からは、色々なことを学ばせてもらった。
彼の話は、地元の埼玉にいる親にも仲間にも、
話していて、いつか俺らとも遊ぼうぜって話してた。
いっ君は俺に
「いやー、俺、今回大学受験失敗してて
まじでよかったっすよ!受かってたら
yoshiさんとは出会えてなかったから
今本当感謝してますね!」って!
この言葉は、本当に嬉しかったよ!
俺もいっ君に出会えた事で色んな物事の
考え方や見え方を変える事が出来るように
なったし、何より大切な友達が出来たことだ!
一緒に働くのはあと2週間くらいか。
いつものように夜の浜辺で寝そべりながら
二人で星眺めながら出会った時から今日まで
をお互いに振り返って話してた。
最初は、俺が恐い印象だったこと
でもまっさきに友達なろうぜって一言が
嬉しかったこと
そこから意気投合して、島のあらゆる場所を
探検しに出掛けたこと
服を着たまま夜の海にダイブだしたこと
…………などなどキリがなかったな😅
ま、残りあと少しいつも通り楽しく仕事
しようぜ!
そして、いっくんが最終日の前日。
もう明日で最後か…
「早かったな。今日はみんなで飯でも
食って帰ろうか!?俺の部屋泊まればよくね?笑」
そんな会話から自然と夜は皆と集まりだして
仕事も終わって、仲間数人で飯を食いながら
あっという間に時間は経って。
他のみんなも明日は仕事だし解散の流れ。
いっ君「泊まるのも悪いし、なんだかんだ
近いんで自分も帰りますよ!
yoshiさん寝坊しないでくださいよ!」
俺 「いっ君こそな!明日はマジで楽しくやろうな」
いつものどこにでもあるような解散の流れで
みんなそれぞれ帰っていき、最後にいっ君と
別れたあと俺も部屋に戻ってすぐに眠りについていた。
俺の部屋をノックする音が聞こえ、目が
覚めた時はもう朝になっていた。
story21に続く
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