beach storyのお話 story.26 島生活の終わり
秋になり、たまに連絡を取り合う埼玉の仲間は
徐々に冬服に変わり始め夜にはコートも
必要だったりと聞くが、ここでは、まだ短パンに
タンクトップで過ごしていられる。
徐々に東京と日本の南国との差がまた生まれ始める。
俺が島を出るころ、この約1年で300杯は超えるほど
ほぼ毎日食ってた近くの久米島そば屋のおじさんは
最後だからってご馳走してくれた。
近所に昔から住んでる本場の沖縄のおばあには
ゴーヤチャンプルの作り方を伝授してもらった。
前日には仲良くなった島の仲間がたくさん
集まってくれて、スパイラルで夜通し
騒ぎまくった。マスターからもみんなからも
直筆のメッセージもたくさんもらった。
こんなにありがたくされたらさすがに名残惜しい😱
明日の出発の覚悟がぶれそうになる😓
今夜に台風でも来てくれりゃ延期出来るんだけどな💦
でも昨日も今日も見事な晴天で明日もその予報☀️🌴
このまま久米島に住んで、島で暮らして行くのも
正直、悪くないと思ってる。
「このまま居着いちゃえば?」
なんて言ってくれる友達も出来た。
だけど、当初の目的は果たす事が出来たからね。
「自分探し」なんてカッコいい言葉で飛び出したけど
夢も目標もなかった現実逃避から始まり
人間の感じる喜び、怒り、哀しみ、そして
それらを含めて人生の出会い、出来事によって得る
楽しさを心の底から感じた日々だったよな。
久米島での出来事は一生で忘れないだろうな。
ここで得たもの失ったもの全てが大きかった。
島では優しさを、いっ君からは命を、
マスターからは生き方を。
全部お金で買えないものだ。
世の中には、お金で買い、変わる事、
代える事が出来るものはたくさんあるけど
本当にお金で買えない変えられないものも
たくさんあるんだよね。
心残りはと言えば、もちろんある。
やっぱりいっ君の事だ。
俺は彼の人生を変えてしまったかもしれない。
もし俺と出会っていなかったら、彼は今も生き続け
死んでいなかったかもしれない。
ただ、彼の命によって俺の人生観は大きく変わった。
いっ君の家には結局、訪ね辛くて島を出る時、
いっ君の家にだけ挨拶が出来ないまま島を出てしまった。
いっ君のお墓には買えるだけ、たくさんのお花を買って
お墓に添えて手を合わせ、しばらくの間座らせてもらい
「いつになるか分からないけど必ずまた会いにくるわ!
マジでありがとな😁」
と一言声に出した。
この約1年は振り返ればあっという間だったが
得たものの代償として失ったものが
半端ない。結局のところ、全て1人で判断し、
1人で行動なんて事はなかったな。
いつでも人に助けられてたし、どこに行ったって
知らない人に会うと言うより
ただ初対面なだけでこっちから先に
心を開いて声をかけて何か訪ねてみると
大抵の人は親切に教えてくれたし。
もちろん中には怪しい人との
出会いもあったけどそれもふくめて
俺の初の旅はすばらしい経験となった。
荷物を持って港へ向かい、船に乗り込んで
見送りに来てくれた仲間達とは見えなくなるまで
手を振り続け、やがて久米島も遠くなっていく。
ありがとう。
さ、愛する地元埼玉へ!目指すは大宮!
「story27に続く」
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